おんなきしゃのやくわり
女記者の役割

冒頭文

一 「オヤお揃いだネ」 カフェー人魚(シレネ)の闥(ドア)を押して、寒い風と一緒に飛込んで来たのは、関東新報記者の早坂勇——綽名(あだな)を足の勇——という、筆より足の達者な男でした。 「早坂君かい、どうだい景気は」 声を掛けたのは、高城(たかぎ)鉄也という、東京新報の花形記者で、足の勇とは商売敵に当るのですが、敵愾心(てきがいしん)よりは友情の方をどっさり持って居ようという、優秀な感じのする若

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸倶楽部」1930(昭和5)年3月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日