おどるびじんぞう
踊る美人像

冒頭文

不思議な手紙 「兄貴、こいつは一杯食わされたらしいぜ」「叱(し)ッ」 関東新報の社会部長で、名記者と言われた千種(ちぐさ)十次郎は、好んで斯(こ)んな伝法な口をきく、部下の早坂勇——一名足の勇——をたしなめるように、霞門の方から入って来る狭い道を指しました。 「あれを見ろ勇」「女だ」「しかも、若くて美しくて贅沢(ぜいたく)な女だ」「成程(なるほど)、こいつは面白い」 二人は口から耳へ、斯う囁き交

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸倶楽部」1930(昭和5)年6月

底本

  • 野村胡堂探偵小説全集
  • 作品社
  • 2007(平成19)年4月15日