ぼくはせいしんがすきだ
僕は精神が好きだ

冒頭文

僕は精神が好きだ。しかしその精神が理論化されると大がいは厭(いや)になる。理論化という行程の間に、多くは社会的現実との調和、事大的妥協があるからだ。まやかしがあるからだ。 精神そのままの思想はまれだ。精神そのままの行為はなおさらまれだ。生れたままの精神そのものすらまれだ。 この意味から僕は文壇諸君のぼんやりした民本主義や人道主義が好きだ。少なくとも可愛い。しかし法律学者や政治学者の民本呼ば

文字遣い

新字新仮名

初出

「文明批評 第一卷第二号」文明批評社、1918(大正7)年2月1日

底本

  • 大杉栄評論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1996(平成8)年8月20日