しんしょたいこうき 02 だいにぶんさつ
新書太閤記 02 第二分冊

冒頭文

寧子(ねね)の胸(むね)「こひ!」 浅野又右衛門(あさのまたえもん)は、家に帰ると、すぐ大きな声で、妻の名をどなった。 於(お)こひは、あわただしく、出迎えて、 「お帰りなさいませ」「酒の支度せい」 いきなりいって—— 「お客を拾うて来たぞ」「それはそれは。どなた様でいらっしゃいますか」「娘の友達だ」「ま……」 と、後からはいって来た藤吉郎(とうきちろう)の姿を見て、 「木下様でございま

文字遣い

新字新仮名

初出

太閤記「読売新聞」1939(昭和14)年1月1日~1945(昭和20)年8月23日<br>続太閤記「中京新聞」他複数の地方紙1949(昭和24)年

底本

  • 新書太閤記(二)
  • 吉川英治歴史時代文庫、講談社
  • 1990(平成2)年5月11日