しんしょたいこうき 01 だいいちぶんさつ |
| 新書太閤記 01 第一分冊 |
冒頭文
序 民衆の上にある英雄と、民衆のなかに伍(ご)してゆく英雄と、いにしえの英雄たちにも、星座のように、各〻の性格と軌道があった。 秀吉は、後者のひとであった。 生れおちた時から壮年期はいうまでもなく、豊太閤(ほうたいこう)となってからでも、聚楽(じゅらく)桃山の絢爛(けんらん)や豪塁(ごうるい)にかこまれても、彼のまわりには、いつも庶民のにおいが盈(み)ちていた。かれは衆愚凡俗をも愛した。
文字遣い
新字新仮名
初出
太閤記「読売新聞」1939(昭和14)年1月1日~1945(昭和20)年8月23日<br>続太閤記「中京新聞」他複数の地方紙1949(昭和24)年
底本
- 新書太閤記(一)
- 吉川英治歴史時代文庫、講談社
- 1990(平成2)年5月11日