ちちぶのおもいで |
| 秩父のおもいで |
冒頭文
秩父の数多い山の中で、高さに於ても姿に於ても、金峰(きんぷ)山は一際すぐれて群を抜いている。御室から登る五十町の峻坂は、岩といい樹といい、如何にも山らしい感じを与えるので、決して飽きることのない路である。絶頂の五丈石は、よしや下から眺めて期待した程のものでないにしても、三角点を中心として縦横に重なり合っている大きな岩塊は、高山の生れたままの荒っぽい一面を偲ばせるものがあると共に、一方には又(また)
文字遣い
新字新仮名
初出
「霧藻」1928(昭和3)年12月
底本
- 山の憶い出 下
- 平凡社ライブラリー、平凡社
- 1999(平成11)年7月15日初版第1刷