よんじゅうねんのかいそう 『みんげいよんじゅうねん』をよんで
四十年の回想 『民藝四十年』を読んで

冒頭文

『民藝四十年』というのは私の著書なので、自分の本を読んでその感想なり、当時の事情なりを書くのはおかしな事だとも思える。病床生活でもしていなければ、こんな閑文を想い立つ機縁はなかったかもしれぬ。しかし今度の私の場合は次の二つの事情のため、さながら他人の著書を読むのと余り変りがなかった。 この本の出版の交渉を受けてからまもなく私は中風で倒れ、一時は生死の程も分らぬ事情にあった。ところが出版社から

文字遣い

新字新仮名

初出

「民藝」1959(昭和34)年5月号

底本

  • 民藝四十年
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1984(昭和59)年11月16日