あらためてみんげいについて
改めて民藝について

冒頭文

民藝という言葉は、仮に設けた言葉に過ぎない。お互に言葉の魔力に囚われてはならぬ。特に民藝協会の同人は、この言葉に躓(つまず)いては相すまぬ。この言葉によって一派を興した事にはなるが、これに縛(しば)られては自由を失う。もともと見方の自由さが、民藝の美を認めさせた力ではないか。その自由を失っては、民藝さえ見失うに至るであろう。お互に充分警戒してよい。道元禅師は、日本曹洞宗の祖といわれるが、曹洞宗とい

文字遣い

新字新仮名

初出

「民藝」1958(昭和33)年8月号

底本

  • 民藝四十年
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1984(昭和59)年11月16日