フランセスのかお
フランセスの顔

冒頭文

たけなわな秋のある一夜。 光の綾を織り出した星々の地色は、底光りのする大空の紺青だった。その大空は地の果てから地の果てにまで広がっていた。 淋しく枯れ渡った一叢(ひとむら)の黄金色の玉蜀黍(とうもろこし)、細い蔓(つる)——その蔓はもう霜枯れていた——から奇蹟のように育ち上がった大きな真赤なパムプキン。最後の審判の喇叭(ラッパ)でも待つように、ささやきもせず立ち連なった黄葉の林。それらの秋

文字遣い

新字新仮名

初出

「新家庭 第一巻第一号」玄文社、1916(大正5)年3月1日

底本

  • 生まれ出づる悩み
  • 角川文庫、角川書店
  • 1969(昭和44)年5月10日