かたわもの
かたわ者

冒頭文

昔(むかし)トゥロンというフランスのある町に、二人(ふたり)のかたわ者がいました。一人(ひとり)はめくらで一人はちんばでした。この町はなかなか大きな町で、ずいぶんたくさんのかたわ者がいましたけれども、この二人のかたわ者だけは特別に人の目をひきました。なぜだというと、ほかのかたわ者は自分の不運をなげいてなんとかしてなおりたいなおりたいと思い、人に見られるのをはずかしがって、あまり人目に立つような所に

文字遣い

新字新仮名

初出

「良婦之友 創刊號」春陽堂、1922(大正11)年1月1日

底本

  • 一房の葡萄
  • 角川文庫、角川書店
  • 1952(昭和27)年3月10日