にほんめいふでん たいこうふじん
日本名婦伝 太閤夫人

冒頭文

一 寧子(ねね)は十六になった。 妹の於(お)ややと二人して、伯父伯母にあたる浅野家に養われて来た。ふたり共、養女なのである。 世間は知らなかった。それほど、浅野又右衛門夫婦の愛は、世の親たちと変りなかった。 十六というと、寧子(ねね)も人知れず、「女の先」を考え始めた。時代は早婚の風である。もう他から結婚のはなしがいろいろ持込まれるのであった。

文字遣い

新字新仮名

初出

「主婦之友」昭和15年3月号

底本

  • 剣の四君子・日本名婦伝
  • 吉川英治文庫、講談社
  • 1977(昭和52)年4月1日