にほんめいふでん たにたてきふじん
日本名婦伝 谷干城夫人

冒頭文

一 白い旋風(つむじ)を巻いて「戦(いくさ)」が翔(か)けてくる。——五十年めの大雪だという雪かぜと共に、薩摩(さつま)と肥後の国境を越えて。 明治十年の二月だった。 時の明治政府へ、 「具申(ぐしん)尋問のため」 と唱うる薩南(さつなん)の健児たちは、神とも信頼している西郷隆盛(さいごうたかもり)を擁し、桐野(きりの)・別府・篠原(しのはら)などの郷党の

文字遣い

新字新仮名

初出

「主婦之友」昭和16年1月号~2月号

底本

  • 剣の四君子・日本名婦伝
  • 吉川英治文庫、講談社
  • 1977(昭和52)年4月1日