にほんめいふでん ほそかわガラシヤふじん
日本名婦伝 細川ガラシヤ夫人

冒頭文

一 暁からの本能寺(ほんのうじ)の煙が、まだ太陽の面(おもて)に墨を流しているうちに、凶乱(きょうらん)の張本人、光秀の名と、信長の死は、極度な人心の愕きに作用されて、かなり遠方まで、国々の耳をつらぬいて行った。わけても、勝龍寺(しょうりゅうじ)の城などは、事変の中心地から、馬なら一鞭(ひとむち)で来られる山城国(やましろのくに)乙訓郡(おとくにごおり)にあるので、桂川(かつらがわ)の水

文字遣い

新字新仮名

初出

「主婦之友」昭和15年7月号

底本

  • 剣の四君子・日本名婦伝
  • 吉川英治文庫、講談社
  • 1977(昭和52)年4月1日