はなぎり
花桐

冒頭文

女が年上であるということが、女を悲しがらせ遠慮がちにならせる。時にはどういう男の無理も通させるようにするものである。花桐が年上であるだけに持彦(もちひこ)は一層打ちこみ方が夢中であったし、女に対するあらゆる若い慾望のまとも、花桐にあった。甘えて見たり無理無体をいって見たり、ときには唏(すす)り泣きの声を聞くまで理由のないことで責めたりする、それは愛情が痒(かゆ)いところに手のとどかないような気のす

文字遣い

新字新仮名

初出

「PHP」1947(昭和22)年4月創刊号

底本

  • 犀星王朝小品集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1984(昭和59)年3月16日