くんしょう |
| 勲章 |
冒頭文
寄席、芝居。何に限らず興行物の楽屋には舞台へ出る藝人や、舞台の裏で働いてゐる人達を目あてにしてそれよりも亦更に果敢(はかな)い渡世をしてゐるものが大勢出入をしてゐる。 わたくしが日頃行き馴れた浅草公園六区の曲角に立つてゐた彼のオペラ館の楽屋で、名も知らなければ、何処から来るともわからない丼飯屋の爺さんが、その達者であつた時の最後の面影を写真にうつしてやつた事があつた。 爺さんはその時、写真
文字遣い
新字旧仮名
初出
「新生 第二巻第一号」新生社、1946(昭和21)年1月1日
底本
- 荷風全集 第十八巻
- 岩波書店
- 1994(平成6)年7月27日