ぜにがたへいじとりものひかえ 145 くものす |
| 銭形平次捕物控 145 蜘蛛の巣 |
冒頭文
一 「親分は? お静さん」 久し振りに来たお品は、挨拶が済むと、こう狭い家の中を見廻すのでした。一時は本所(ほんじょ)で鳴らした御用聞——石原の利助の一人娘で、美しさも、悧発(りはつ)さも申分のない女ですが、父親の利助が軽い中風で倒れてからは、多勢の子分を操縦して、見事十手捕縄を守りつづけ、世間からは「娘御用聞」と有難くない綽名(あだな)で呼ばれているお品だったのです。 とって二十三のお品は、
文字遣い
新字新仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1943(昭和18)年6月号
底本
- 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
- 嶋中文庫、嶋中書店
- 2005(平成17)年9月20日