ぜにがたへいじとりものひかえ 143 ほとけきさぶろう
銭形平次捕物控 143 仏喜三郎

冒頭文

一 「八、久しく顔を見せなかったな」 銭形の平次は縁側一パイの三文盆栽を片付けて、子分の八五郎のために座を作ってやりながら、煙草盆を引寄せて、甲斐性のない粉煙草をせせるのでした。 「ヘエ、相済みません。ツイ忙しかったんで——」「金儲けか、女出入りか」「からかっちゃいけません」「まさかあの案山子(かかし)に魔が差したようなのに凝(こ)っているんじゃあるまいな」「何です、その案山子に魔がさしたてエの

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1943(昭和18)年4月号

底本

  • 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年9月20日