ぜにがたへいじとりものひかえ 103 きょとうかえる
銭形平次捕物控 103 巨盗還る

冒頭文

一 「親分の前だが、この頃のように暇じゃやりきれないね、ア、ア、ア、ア」 ガラッ八の八五郎は思わず大きな欠伸(あくび)をしましたが、親分の平次が睨(にら)んでいるのを見ると、あわてて欠伸の尻尾に節をつけたものです。 「馬鹿野郎、欠伸に節をつけたって、三味線には乗らないよ」「三味線には乗らないが、その代り法螺(ほら)の貝に乗る」「呆(あき)れた野郎だ、山伏の祈祷(きとう)をめりやすと間違えてやがる

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1939(昭和14)年11月号

底本

  • 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年5月20日