ぜにがたへいじとりものひかえ 126 つじぎり
銭形平次捕物控 126 辻斬

冒頭文

一 「八、厄介なことになったぜ」 銭形の平次は八丁堀の組屋敷から帰って来ると、鼻の下を長くして待っている八五郎に、いきなりこんなことを言うのです。 「何かお小言ですかえ、親分」「それならいいが、笹野の旦那が折入っての頼みというのは、——近ごろ御府内を荒らし廻る辻斬(つじぎり)を捉(とら)えるか、せめて正体を突き止めろというのだ」「へッ、ヘエ——」 ガラッ八の八五郎さすがに胆(きも)を潰(つぶ)し

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1941(昭和16)年10月号

底本

  • 銭形平次捕物控(十三)青い帯
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年7月20日