ぜにがたへいじとりものひかえ 101 おひでのちち
銭形平次捕物控 101 お秀の父

冒頭文

一 ガラッ八の八五郎が、両国の水茶屋朝野屋(あさのや)の様子を、三日つづけて見張っておりました。 「近頃変なのがウロウロして、何を仕掛けられるか気味が悪くてかなわないから御用のひまなとき、八五郎親分でもときどき覗かして下さいな——」 朝野屋の名物娘お秀(ひで)が、人に反対や遠慮をさせたことのない、圧倒的な調子でこう平次に頼んで行ってからのことでした。 そのころお秀は二十六の年増盛り、啖呵(

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1939(昭和14)年9月号

底本

  • 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年5月20日