ぜにがたへいじとりものひかえ 122 おゆらのつみ
銭形平次捕物控 122 お由良の罪

冒頭文

一 「親分、変なことがありますよ」「何が変なんだ。——まだ朝飯も済まないのに、いきなり飛び込んで来て」 五月のよく晴れた朝、差当って急ぎの御用もない銭形平次は、八五郎でも誘って、どこかへ遊びに行こうかといった、太平無事なことを考えている矢先、当の八五郎は少しめかし込んだ恰好(かっこう)で、飛び込んで来たのです。 「それがね、親分」 ガラッ八は少し言いにくそうでもあります。 「めかし込んでいるく

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1941(昭和16)年6月号

底本

  • 銭形平次捕物控(十三)青い帯
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年7月20日