ぜにがたへいじとりものひかえ 086 えんむすび
銭形平次捕物控 086 縁結び

冒頭文

一 「八、まあそこへ坐れ、今日は真面目な話があるんだ」「ヘエ——」 八五郎のガラッ八は、銭形平次の前に、神妙らしく膝小僧(ひざこぞう)を揃えました。 「外(ほか)じゃねえが、——手前(てめえ)もいつまでも独りじゃあるめえ、いい加減にして世帯を持つ気になっちゃどうだ」 平次は二三服立て続けに吸った煙管(きせる)をポンと投(ほう)り出して、八五郎の方へ心持ち身体をねじ向けるのでした。 「ヘエ——」

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1939(昭和14)年3月号

底本

  • 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年12月20日