ぜにがたへいじとりものひかえ 008 すずをしたうおんな |
| 銭形平次捕物控 008 鈴を慕う女 |
冒頭文
一 「八、あれを跟(つ)けてみな」「ヘエ——」「逃がしちゃならねえ、相手は細(こま)かくねえぞ」「あの七つ下がりの浪人者ですかい」「馬鹿ッ、あれはどこかの手習師匠で、仏様のような武家だ。俺の言うのは、その先へ行く娘のことだ」「ヘエ——、あの美しい新造(しんぞ)が曲者(くせもの)なんですかい。驚いたな」「静かに物を言え、人が聞いてるぜ」 銭形の平次と子分のガラッ八は、その頃繁昌した、下谷(したや)の
文字遣い
新字新仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1931(昭和6)年11月号
底本
- 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
- 嶋中文庫、嶋中書店
- 2004(平成16)年12月20日