ぜにがたへいじとりものひかえ 109 ふたりはまじ |
| 銭形平次捕物控 109 二人浜路 |
冒頭文
一 「親分、面白い話があるんだが——」 ガラッ八の八五郎は、妙に思わせぶりな調子で、親分の銭形平次に水を向けました。 「何が面白くて、膝(ひざ)っ小僧なんか撫(な)で廻すんだ。早く申上げないと一帳羅(いっちょうら)が摺(す)り切れそうで、心配でならねエ」 そういう平次も、この頃は暇でならなかったのです。 「親分が乗り出しゃ、一ペンに片付くんだが、あっしじゃね」「たいそう投げてかかるじゃないか」
文字遣い
新字新仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1940(昭和15)年5月号
底本
- 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
- 嶋中文庫、嶋中書店
- 2005(平成17)年5月20日