ぜにがたへいじとりものひかえ 121 つちへのあいちゃく
銭形平次捕物控 121 土への愛着

冒頭文

一 「親分、良い陽気じゃありませんか。少し出かけてみちゃどうです」 ガラッ八の八五郎が木戸の外から風(ふう)の悪い古金買いのような恰好(かっこう)で、こう覗(のぞ)いているのでした。 「なんだ八か。そんなところから顎(あご)なんか突き出さずに、表から廻って入って来い」 銭形平次は、来客と対談中の身体を捻(ひね)って、大きく手招ぎました。 「顎——ですかね、へッ、へッ」 ガラッ八は首を引っ込めて

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1941(昭和16)年5月号

底本

  • 銭形平次捕物控(十三)青い帯
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年7月20日