ぜにがたへいじとりものひかえ 119 はくしのきょうふ
銭形平次捕物控 119 白紙の恐怖

冒頭文

一 「親分ちょいと——」 ガラッ八の八五郎は、膝(ひざ)小僧で歩くように、平次のとぐろを巻いている六畳へ入って来ました。 「なんだ八、また、お客様をつれて来たんだろう。今度はなんだえ、若い人のようだが——」「どうしてそんなことが判るんで? 親分」「お前の顔にそう書いてあるじゃないか」「ヘエ——」 ガラッ八は平手で長(なんが)い顔をブルブルンと撫(な)で廻すのです。 「平手で面を掻き廻したって、

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1941(昭和16)年3月号

底本

  • 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年6月20日