ぜにがたへいじとりものひかえ 115 にかいのむすめ
銭形平次捕物控 115 二階の娘

冒頭文

一 「親分、変なことがあるんだが——」 ガラッ八の八五郎が、少し鼻の穴を脹(ふく)らませて入って来ました。 「よくそんなに変なことに出っくわすんだね、俺なんか当り前のことで飽々(あきあき)しているよ。借りた金は返さなきゃならないし、時分どきになれば腹は減るし、遊んでばかりいると、女房は良い顔をしないし」 銭形の平次はそう言いながら、せっせと冬仕度の繕(つくろ)い物をしている恋女房のお静の方をチラ

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1940(昭和15)年11月号

底本

  • 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年6月20日