へいじといきたにじゅうしちねん
平次と生きた二十七年

冒頭文

愛情主義の平次 「銭形平次」を書き始めて、もう二十七年になる。自分が生きている間は書きつづけてゆくつもりでいたが、五、六年前から眼疾(がんしつ)が急に悪化して、どうしても筆をもつことが不可能になってしまった。二度、三度と手術をし、どうにかして書きつづけたいと努力してみたが、何分にも七十六歳の老体のことゆえ回復もむずかしかったのだろう、最近ではすっかり気力も失ってしまった。 そんなわけで、到底(とう

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1957(昭和32)年9月

底本

  • 銭形平次捕物控(七)平次女難
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年11月20日