ぜにがたへいじとりものひかえ 050 ごがたき
銭形平次捕物控 050 碁敵

冒頭文

一 「親分、泥棒は物を盗(と)るのが商売でしょう」 八五郎のガラッ八はまた変なことを言い出しました。 「商売——はおかしいが、まア世間並の泥棒は人の物を盗るだろうな」 銭形平次は、女房のお静に給仕をさせて、遅い朝飯をやりながら、こんな事を言っております。 桜には少し早いが、妙に身内の擽(くすぐ)られるような、言うに言われぬ好(い)い陽気です。 「ところがその世間並でねえ泥棒があったんで——

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1936(昭和11)年4月号

底本

  • 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年5月20日