ぜにがたへいじとりものひかえ 018 とみくじせいだん
銭形平次捕物控 018 富籤政談

冒頭文

一 「親分はいらっしゃる?」「まア、お品(しな)さん、しばらくねえ、さア、どうぞ——」 取次のお静は、手を取らぬばかりに、石原(いしはら)の利助(りすけ)の娘で、年増っぷりの美しいお品を招じ入れました。 「何? お品さん、それは珍しいねえ、近頃、兄哥(あにき)はどうなすったんだ」 銭形の平次も、この珍客の声を聞いて、あわてて浴衣(ゆかた)の肌を入れながら出て来ました。妙に蒸し暑い日、八朔(はっさ

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1932(昭和7)年9月号

底本

  • 銭形平次捕物控(六)結納の行方
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年10月20日