うもんとりものちょう 27 けんじょうはかたにんぎょう |
右門捕物帖 27 献上博多人形 |
冒頭文
1 ——その第二十七番てがらです。 場所は芝。事の起きたのは、お正月も末の二十四日でした。風流人が江戸雪といったあの雪です。舞いだしたとなると、鉄火というか、伝法というか、雪までがたいそうもなく江戸前に気短なところがあって、豪儀といえば豪儀ですが、ちらりほらりと夜の引きあけごろから降りだしたと思ったあいだに、たちまち八百八町は二寸厚みの牡丹雪(ぼたんゆき)にぬりこめられて、見渡すか
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 右門捕物帖(三)
- 春陽文庫、春陽堂書店
- 1982(昭和57)年9月15日