ぜにがたへいじとりものひかえ 071 へいじとそきげん
銭形平次捕物控 071 平次屠蘇機嫌

冒頭文

一 元日の昼下り、八丁堀町御組屋敷の年始廻りをした銭形平次と子分の八五郎は、海賊橋(かいぞくばし)を渡って、青物町へ入ろうというところでヒョイと立止りました。 「八、目出度いな」「ヘエ——」 ガラッ八は眼をパチパチさせます。正月の元日が今はじめて解ったはずもなく、天気は朝っからの日本晴れだし、今さら親分に目出度がられるわけはないような気がしたのです。 「旦那方の前(めえ)じゃ、呑んだ酒も身に

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1938(昭和13)年1月号

底本

  • 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年5月20日