ぜにがたへいじとりものひかえ 033 ちしおのよくそう |
| 銭形平次捕物控 033 血潮の浴槽 |
冒頭文
一 元飯田橋(もといいだばし)の丁子風呂(ちょうじぶろ)の女殺しは、物馴れた役人、手先もたった一目で胸を悪くしました。これほど残酷で、これほど巧妙で、これほど凄い殺人(ころし)は滅多にあるものではありません。 少し順序を立てて話しましょう。 滅法(めっぽう)暑かった年のことです。八朔(はっさく)から急に涼しくなりましたが、それでも日中は汗ばむ日が多いくらい、町の銭湯なども昼湯の客などは滅
文字遣い
新字新仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1934(昭和9)年10月号
底本
- 銭形平次捕物控(三)酒屋火事
- 嶋中文庫、嶋中書店
- 2004(平成16)年7月20日