ぜにがたへいじとりものひかえ 085 ひょうたんくよう
銭形平次捕物控 085 瓢箪供養

冒頭文

一 「あ、八じゃねえか。朝から手前(てめえ)を捜していたぜ」 路地の跫音(あしおと)を聞くと、銭形平次は、家の中からこう声をかけました。 「ヘエ、八五郎には違(ちげ)えねえが、どうしてあっしと解ったんで?」 仮住居(かりずまい)の門口(かどぐち)に立ったガラッ八の八五郎は、あわてて弥蔵(やぞう)を抜くと、胡散(うさん)な鼻のあたりを、ブルンと撫(な)で廻すのでした。 「橋がかりは長(なげ)えや

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1939(昭和14)年2月号

底本

  • 銭形平次捕物控(七)平次女難
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年11月20日