こずのしんじうべきていど
古図の信じ得可き程度

冒頭文

古図を閲覧するに当りて何人(なんぴと)も抱く可(べ)き疑問は、其(その)図が輯製の当時既に知られたる事実を、果して如何程まで広く採録せりや否やといえることなる可し。ここに所謂(いわゆる)古図とは主として徳川時代に出版されたる地理に関する絵図類をいう。此等(これら)の図に拠(よ)りて地形の正確なる説明を大要なりとも知らんとするが如きは、欲する者の無理なるは言う迄もなく、唯(た)だ山川都邑道路等に就て

文字遣い

新字新仮名

初出

「山岳」1923(大正12)年5月

底本

  • 山の憶い出 下
  • 平凡社ライブラリー、平凡社
  • 1999(平成11)年7月15日