おぜざつだん
尾瀬雑談

冒頭文

尾瀬の記事は既に書き尽されてあるから、この上の剰筆は真に蛇足であるに過ぎないが、敢て二、三の見聞をここに載せることにした。尤も雑談に花を咲かせる程の興味あるものでないことは予(あらかじ)め御承知を願いたい。 尾瀬沼は『正保図』には「さかひ沼」となっていて、尾瀬とも小瀬とも記してないことは、曾て『山岳』十六年三号に書いた通りである。然(しか)るに寛文六年の序ある『会津風土記』には、

文字遣い

新字新仮名

初出

「山岳」1925(大正14)年5月

底本

  • 山の憶い出 下
  • 平凡社ライブラリー、平凡社
  • 1999(平成11)年7月15日