きょげんということについてのついそう |
| 嘘言と云ふことに就いての追想 |
冒頭文
嘘言を吐(つ)くと云ふことは悪いことだと私達はずつと小さい時から教へられて来ました。これは恐らく一番いけないことに違ひはありません。けれど私たちが今迄過ごして来たいろ〳〵なことについてふり返つて考へて見ますとき、私は何れの場合に於ても私の真実は恐らく——それが複雑であればある程、また心理的に傾く程、——一つも受け入れては貰へなかつたにもかゝはらず、私の虚偽は深ければ深い程都合よく受けられました。そ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「青鞜 第五巻第五号」1915(大正4)年5月1日
底本
- 定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代
- 學藝書林
- 2000(平成12)年5月31日