うちきなむすめとおてんばむすめ
内気な娘とお転婆娘

冒頭文

『女はしとやかでなくてはいけない、をとなしくなくてはいけない』と云ふ訓(お)しへは甚だ結構な事です。一時『新らしい女』と云ふものが盛んにはやつた時には、大変なお転婆がいろんな奇抜な真似をして人目をおどろかしました。しかし、どんな勝手な真似をしても気持の上に、或るデリカシイを持つてゐなければならないと云ふ事は、其の当時そのお転婆の一人であつた私すら痛切に感じた程でした。私達は『新らしい女』の本家本元

文字遣い

新字旧仮名

初出

「改造 第七巻第八号」1925(大正14)年8月1日

底本

  • 定本 伊藤野枝全集 第三巻 評論・随筆・書簡2――『文明批評』以後
  • 學藝書林
  • 2000(平成12)年9月30日