ぜにがたへいじとりものひかえ 005 ゆうれいにされたおんな
銭形平次捕物控 005 幽霊にされた女

冒頭文

一 「親分、聞きなすったか」「何だ、騒々しい」 銭形平次の家へ飛込んで来た子分のガラッ八は、芥子玉絞(けしだましぼ)りの手拭を鷲掴(わしづか)みに月代(さかやき)から鼻の頭へかけて滴(したた)る汗を拭いております。 「大変な事がありますぜ」「また、清姫(きよひめ)が安珍(あんちん)を追っかけて、日高川で蛇(じゃ)になった——てな話だろう」「冗談じゃねえ、今日のはもっとイキのいい話だ。何しろ、仏様

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1931(昭和6)年8月号

底本

  • 銭形平次捕物控(五)金の鯉
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年9月20日