ぜにがたへいじとりものひかえ 070 にほんのわきざし
銭形平次捕物控 070 二本の脇差

冒頭文

一 「親分、大変なものを拾って来ましたぜ」 八五郎のガラッ八は、拇指(おやゆび)を蝮(まむし)にして、自分の肩越しに入口の方を指しながら、日本一の突き詰めた顔をするのでした。 「何だ、八、小判か、銭か」 銭形の平次は置き炬燵(ごたつ)に尻を突込んで黄表紙を拾い読みしていたのです。 「そんな物じゃねえ、人間ですよ、親分」 ガラッ八の真剣さ。 「夜鷹(よたか)なんか拾って来やがると、勘弁しねえよ

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1937(昭和12)年12月号

底本

  • 銭形平次捕物控(五)金の鯉
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年9月20日