ぜにがたへいじとりものひかえ 061 ゆきのあしあと
銭形平次捕物控 061 雪の足跡

冒頭文

一 「親分、犬が女を殺すでしょうか」 淡雪の降った朝、八五郎のガラッ八は、ぼんやりした顔で、銭形平次のところへやって来ました。 「咬(か)み殺されたのかい」「そんな事なら不思議はないが、女が匕首(あいくち)で刺されて死んでいるのに、雪の中の足跡は犬なんだそうで——」「そんな馬鹿なことがあるものか。犬が匕首を振り廻すなら、猫は出刃庖丁を持出すぜ」「ね、誰だって一応はそう思うでしょう」「一応も二応も

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1937(昭和12)年3月号

底本

  • 銭形平次捕物控(二)八人芸の女
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年6月20日