ぜにがたへいじとりものひかえ 074 にどしんだおとこ
銭形平次捕物控 074 二度死んだ男

冒頭文

一 「親分、良庵(りょうあん)さんが来ましたぜ」「ヘエ——、朝から変った人が来るものだね、丁寧に通すがいい」 銭形の平次は居ずまいを直して、客を迎えました。服部(はっとり)良庵という町内の本道(内科医)、頭を円(まる)めた五十年輩、黄八丈に縮緬(ちりめん)の羽織といった、型のごとき風体です。 「親分、早速だが、大徳屋孫右衛門(だいとくやまごえもん)が死んだことはお聞きだろうね」 良庵はろくに挨拶

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1938(昭和13)年4月号

底本

  • 銭形平次捕物控(五)金の鯉
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年9月20日