ぜにがたへいじとりものひかえ 052 にふくのくすり |
| 銭形平次捕物控 052 二服の薬 |
冒頭文
一 銭形平次の見ている前で、人間が一人殺されたのです。それをどうすることも出来なかった平次、この時ばかりは、十手捕縄を返上して、番太の株でも買おうかと思った事件、詳しく話せば、こうでした。 「親分、今年の花見は町内に忌引(きびき)や取込みがあって、ろくな工夫もなかったが、その代り川開きの晩は、涼み船を出して、大川を芸尽しで漕(こ)ぎ廻そうという寸法さ。お役目を抜きにして、その晩は一と肌脱いじゃ
文字遣い
新字新仮名
初出
「オール讀物」文藝春秋社、1936(昭和11)年6月号
底本
- 銭形平次捕物控(二)八人芸の女
- 嶋中文庫、嶋中書店
- 2004(平成16)年6月20日