ぜにがたへいじとりものひかえ 017 あかいひも
銭形平次捕物控 017 赤い紐

冒頭文

一 神田祭は九月十五日、十四日の宵宮(よいみや)は、江戸半分煮えくり返るような騒ぎでした。 御城内に牛に牽(ひ)かれた山車(だし)が練り込んで、将軍の上覧に供えたのは、少し後の事、銭形の平次が活躍した頃は、まだそれはありませんが、天下祭または御用祭と言って、江戸ッ児らしい贅(ぜい)を尽したことに何の変りもありません。 銭形の平次も、御多分に漏れぬ神田ッ子でした。一と風呂埃を流してサッと夕

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1932(昭和7)年8月号

底本

  • 銭形平次捕物控(二)八人芸の女
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年6月20日