ぜにがたへいじとりものひかえ 026 あやきちごろし
銭形平次捕物控 026 綾吉殺し

冒頭文

一 「親分、幽霊を見たことがありますかい」「そんなものに近付きはねえよ。もっとも化物なら、この節は箱根の向うとは限らねえ、その辺にも大きな鼻の孔(あな)を掘っているぜ——」「ちぇッ、親分の前(めえ)だが、これでも町内の新造は大騒ぎだ。三日でもいいから、八さんと一緒になって苦労がしてみたいってネ」「新造じゃあるめえ。そいつは、横町に居る手前のお袋だろう。この間もそう言っていたよ——いつまでも親分のと

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1934(昭和9)年3月号

底本

  • 銭形平次捕物控(二)八人芸の女
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2004(平成16)年6月20日