ぜにがたへいじとりものひかえ 088 ふしのれいやく
銭形平次捕物控 088 不死の霊薬

冒頭文

一 「親分、どうなすったんで?」 ガラッ八の八五郎は、いきなり銭形平次の寝ている枕許に膝行(いざ)り寄りました。 「八か、——風邪を引いたんだよ。寝ているのも馬鹿馬鹿しいが、熱が高くて我慢にも起きちゃいられねえ」 平次は手拭で額を縛って、真っ赤な顔をしてフウフウ言っているのです。 「そいつはいけねえ、悪い風邪が流行(はや)るんですってね、気をつけなくちゃいけませんよ」 ガラッ八は世間並の事を言

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1939(昭和14)年5月号

底本

  • 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年1月20日