ぜにがたへいじとりものひかえ 089 ひゃくしじゅうしや
銭形平次捕物控 089 百四十四夜

冒頭文

一 「親分、退屈だね」 ガラッ八の八五郎は、鼻の穴で天文を観るような恰好(ポーズ)を取りました。 「呆(あき)れた野郎だ。小半日空を眺めて欠伸(あくび)をしていりゃ、猫の子だって退屈になるよ。庭へ降りて来て手伝いな。跣足(はだし)になると、土が冷(ひ)やりとして、とんだいい心持だぜ」 平次はそう言いながら、せっせと植木鉢の世話をしております。 青葉と初鰹(はつがつお)と時鳥(ほととぎす)で象

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1939(昭和14)年6月号

底本

  • 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年1月20日