ぜにがたへいじとりものひかえ 041 さんぜんりょういへん
銭形平次捕物控 041 三千両異変

冒頭文

一 「おや、八五郎親分、もう御存じで?」「知らなくってさ。隠したって駄目だよ、真っ直ぐに申し上げた方がいいぜ」 ガラッ八の八五郎が、浜町河岸で逢ったのは、廻船問屋浪花屋(なにわや)の奉公人、二三本釘(くぎ)の足りない江戸っ子で、雑用にコキ使われている釜吉(かまきち)でした。 五月二十八日の川開きが昨夜(ゆうべ)済んだばかり、朝の浜町河岸は埃溜(ごみため)を引っくり返したようですが、その中に何か

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1935(昭和10)年6月号

底本

  • 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年1月20日