ぜにがたへいじとりものひかえ 087 かたきうちはてて
銭形平次捕物控 087 敵討果てて

冒頭文

一 その日、三河屋に集まった客は四人、将棋にも碁にも飽きて、夕刻からは埒(らち)もない雑談に花が咲きました。 「内証事(ないしょごと)は隠しおおせるものじゃない。不思議なことに、他から漏れずに、本人の口から知れるものさ」 そう言ったのは隣の乾物屋、伊勢屋玉吉(いせやたまきち)という四十男でした。 「いや、それは性根が定まらない人間のことだ。少し心掛けのある人間なら、口外すまいと思い定めたこと

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋社、1939(昭和14)年4月号

底本

  • 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
  • 嶋中文庫、嶋中書店
  • 2005(平成17)年1月20日