なつとしょうねんのたんぺん
夏と少年の短篇

冒頭文

私とキャッチ・ボールをしてください 金曜日の午後、高等学校からの帰り道、いつも乗る私鉄の十二両連結の電車のなかほどの車両から、三年生の伊藤洋介はプラットフォームに降りた。どの車両からも、何人かの乗客が、それぞれになぜか疲労した様子で外へ出てきた。線路をむこうへまたぐ木造の建物が、プラットフォームの端にあった。誰もがそこにむけて歩いた。 歩きながら伊藤洋介は空を仰いだ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 夏と少年の短編
  • 東京書籍
  • 1992(平成4)年12月7日